バングラデシュ インディナロックのその中で
バングラデシュ インディナロックのその中で
1月27日
今月28日の出荷に向けて、私は我が社の現地スタッフA君と共にダッカ市内の中クラスの
デニム協力工場で日夜 生産管理、品質管理に携わっている。
この工場はバングラデシュのEPZ(輸出企業集積地)地区内に立ち並ぶ巨大工場とは
違いスケールではとても小さい方だと言ってよいだろう。
但し、これは我が社㈱わんピースの戦略であって、意識的にこの様な
工場との取り組みを行なっている。
現在EPZ(輸出加工区)に工場進出しても、数々のこの国ならではの制約に遭い、資材等の輸入コストが高くつく為に結果的に生産コストの低減に反映しなくて困っている
日本企業が有ると言う
その点、中小規模の工場は管理体制は未熟だけど小回りが効くと言う事や
比較的に中小のロットでも対応してもらえると言う大きな利点がある。
但し、物事はそう甘くなく、当社が選択したこの取り組み方法にはメリットと共に
大きな問題も抱えている事は事実だ。
その問題とは、経営者及び管理者の意識改革がむつかしいと言う事
バングラデシュの人々は総じて、明るくフレンドリーで細かい事に
こだわらない、おおらかさを持っている。
おそらく年中通じて気候が暖かい事や日常的に発生する電力不足や交通停滞等が
国民性にも大きく影響しているのだろう。
但し、この大らかさが一旦仕事を共にするとなると、大きな障害なってしまう。
まず、約束を守らない、時間にルーズ、身の回りを清潔に保つと言う
習慣がまったく無いと言う様ないい加減な面が仕事の時にも随所に出てくる
しかも、ワーカー全般に集中力に欠け、ちょっと管理者のいない隙を見つけては
おしゃべりはおろか、作業机の下で寝転んでいる者も居たりしてだらけてしまう
と言うのが常である。
私が、ダッカ下町の或協力工場に依頼した製品の確認に訪れた時にも
仕事中にも関わらず、寝転んでいる者、大声で歌を歌っている者が居るかと
思うといきなり私に タバコや写真撮りをねだって来るものが数人いた。
そんな時工場長(社長)が即座に叱りつけるとおもいきや、見て見ぬ風を
装っていた時には、本当に驚いてしまった。
かと言ってどんな時にも野放しかと言うとそうでもなく、工場内で工員同士が喧嘩をした時
とか不良品が発生した時には地獄の赤鬼もびっくりするような大声を上げて叱りつけていた。
ことほど左様なお国柄であり、そんな人々との協力事業は相当の覚悟と自分を見失わない
強い精神力が必要であるように思う。
もちろん、この様なあまりにもルーズな工場との取引は早々に取りやめる事にして
現在は別の数社とお付き合いしている。
但し、この国で生活もしくは仕事をする場合、時には日本人としての時間感覚やこうであろう…と言う様な日本を基準とした価値観や思い込みを捨てなければ、長くは続けていけないように思う。
一度自分の体内時計をオフにしてみるのも、心の調整と言う意味では重要なのだろう
日本の様に分きざみのスケジュールが何の滞りも無く進行する国の方が稀なのだ
と言う事をこころのどこかに持ち合わせていないと神経衰弱に成りそうな
気がする。
今私はまさに明日の出荷に向けて夜半にも関わらず、工場スタッフと共に
最終追い込み作業を行なっているが、かたわらのスピーカーからはインディナロックの
大音響と工場長がワーカーに発する怒声で にぎやかさ此の上ない。
早朝5時、工場長はもちろんの事、今でも10名のスタッフが残って残業対応してくれている
最初のうちはインディアナロックの独特のリズムとメロディーに戸惑いを感じていたが
最近では慣れてきたせいか、非常に耳ごごちが良い。
工場内に絶える事の無い工場長の怒声も、まるでじゃじゃ馬を絶えずムチで叱咤
激励しているように、この国では必要な事なのかなあ~と思ってきたから不思議である
大工場で完全に管理システムが出来上がり、その中で整然と仕事を進めていくのも
良いが、私が相手しているような中小の工場の場合は、ある意味での泥臭さや新たに
イチから作り上げる喜びもある物だと思えるようになって来た。
このインディナロックと言う音楽、インド圏の国々では西洋の音楽を大きく上回るくらい
人々に愛されている。
テンポ弾むリズムと言い、底抜けに明るいメロディーと言い、バングラ人の特質を見事に表現しているのではないだろうか。
であれば一度、その良さを受け入れた上で仕事と取り組むのも必要かもしれない。
もしかすると、そう思えるようになって来た私自身もいつのまにかバングラ化が
進んでいるのかも知れない。
そう言えば、この国のちょっと太めで色黒の女性達にあのセクシーで世界中で人気の
アンジェリーナジョリーに見えてきたから不思議なものである。
N~~!!! これはこれで問題だ。
ともあれ私の心のプチバングラ化の問題はさて置き、早朝6時まで残業を付き合ってくれた
スタッフの事だが、翌朝はいつも通りの時間に出社していた。
そしていつもの笑顔で私に挨拶を返してくれた。
この人たちの為にも、何とか現在我が社が進めている共同事業をなんとか成功させたい
ものである。
㈱わんピース プロダクトマネージャー小山
Posted in わんピース ビジネスレポート |