バングラデシュ 花の香りと右手と左手
バングラデシュに入国した時に、かつて中国上海の発展途上時代に虹橋空港から
市内に向かう車の中で感じた強烈なカルチャーショックを思い出した。
人の多さ、土埃、近代的の物と昔日の物との入り乱れ、やたらと鳴らすクラクション
物乞いの多さ、平気で道路に唾する人々、街中に異臭を放つ腐乱物等々
4つ星のホテルに入っても、どこか粗末な部分が残っており、石鹸やタオルや水道の水も
鉄臭がすると言うような事が次々と思い出されてきた。
しかもそのどれもが当時の上海と比べてもまったく格が違っており
有る程度は案内本で知識を得ていたが遥かに私の想像を上回るものだった。
ところがである、ホテルでシャワーを浴びた時に感じたのだが、私たちが泊まった
ホテルの石鹸だけは、実にいい香りがしてきて、それまでに感じた田舎臭さや
未開の地的な印象から一気に部屋中を高級感ただよう5つ星級ホテルの一室に
変えていた。
その後、バングラデシュ料理の店に行った時も、協力工場の社長宅におじゃま
した時も同じように、人々が手を洗う都度、あたり一面になんとも言えない
花の香りが漂うのである。
しかし同時に私の頭にもたげてきたのは、このバングラデシュでなにゆえ石鹸だけが
日本の高級石鹸にも負けないほどの香りを持っているのだろう???
と言う素朴な疑問である。
この答えは私たちが住まい近くのレストランで食事をしている時と
わが社わんピースのデニム製品の協力工場の自宅でトイレを使わせてもらった時
に判明した。
ダッカの中心街となると日本料理店や世界各国の料理店が有るようだが
私の住んでいる街には主にKFC及びそのまがい物店か地元料理店しかない。
私たちがその地元料理(バングラデシュ料理)店で食事をしていると、男女を
問わず、すべての人が右手の指だけを巧みに使って口に運んで食事をしていた。
チキンやバーベキューなどの比較的にちぎりにくい物も、やはり右手しか使わない
私は、不思議に思ってわが社の社長に聞いてみたら。社長曰く
『左手はトイレでお尻を拭く時に使います。』……
しばしの絶句の後
そう言えば、くだんの協力工場社長宅に我々のアパートの設備が完備する一夜だけ
泊めてもらって、朝トイレを借りた時の事を思い出してしまった。
私は本当に驚いてしまった。なんとそのトイレの中には紙が無かったのだ。
有るのはプラスチックの手スクイ桶と水道からのびたホースだけ!
お~MY GOOT(お~私の紙よ!)
幸いかばんにティッシュを用意していたので私は、一度部屋に戻って
貴重な紙を何度か折りたたみながら使用した。
そうか!こっちの人はトイレの時も左手を使うのか!やっと納得出来た次第である。
両手に纏わり付く食べ物やウンチを手早くきれいにし、なおかつ匂いを消す
一番良い方法!それが香りの強い石鹸を使う事だったのだ。
そういえば、その風習に慣れない私が左手と右手を使って食事をしている時
いたるところからの視線を感じる。
その視線が私が外国人からなのか? 彼らが思う左手を使って食べ物を取り分けている
からか? その真意は分からない。
考えてみると、生活のあらゆる場面で手や頭を使って物をつかんだり移動したりと言う
習慣はごくごく自然の事かも知れない。
箸の為の木材は不要
トイレでの大量の紙は要らない
しかもおつうじ後すぐに水で洗い流す これほど経済的で清潔な事は無い
カルチャーとは相対的なもので、唯一のカルチャーが絶対ではない事を私に知らしめた
バングラ事情で有った。
㈱わんピース プロダクトマネージャー 小山
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